THE CULTURESのブログ

アフェリエイトじゃないです。一緒にしないでください。

ギリギリ不義理ムチムチ無無知

まんせー

真理は死んだ。

あればと願うことを止めてからというもの、私の中の哲学が死んだ。

期待をするという熱と光は遠くに消えていってしまったのだ。

こないだ上野美術館に行き、他人の哲学を見学させてもらった。

以前師匠にアートと美術は違うと言われたことを思い出した。

何が違うのかを問うてみたところ

一言。

 

「格が違う」

 

そう言って美術家になろうとする師匠はまた遠くへ行ってしまうのだろう。

絵画はアートに分類されるのか美術に分類されるかを確かめるのを兼ねての今回の観覧であった。

その日は特に陽の光があるとか、雨が降るとかそーゆーキッパリとした天気ではなく、"グレー"であった。

 

作品の題材の一つに

 

"あなたの心や体を支配するものやひとはなんですか。"

 

というものがあり、美術館に来た人たちが用意された付箋に自分の支配されしているものを書くことで完成する作品があった。

私は何に支配されているのだろうか。

考えはじめると一言では言い表せないものということだけわかり、付箋が途端に小さいマスのように見えた。

ものごと一つ一つに支配されて生きている気がして自分の哲学を言語化することができなかった。

そのまま流れるように自分の世界から客観にもどり、西洋の絵画から現代の絵画に変わった。

その中に一段と目を引く絵とタイトルを見つけることができた。

 

"人の世に熱あれ、人間に光あれ。''

                                   おだわらのどか

 

自分の哲学がなくなった今、こだわるものやこうあるべきだとする理論は社会性から外れている気がしていた。

ようやく社会が嫌いな理由がわかった。

こだわり続けるこの熱と光を忘れた時に支配に怯え、イメージを失うのだろう。

その上でさっきの作品の問いに答えるとしたら

 

"自分を支配してるのは"自分らしくある気持ち"

 

である。

 

 

1.

カズヤが伊勢原駅についた時にはすでに良い時間で、夜の街にしては少し早かった。

今日から3日間は出張でいつもと違う雰囲気の帰り道に少し羽を伸ばしても良いかと思っていた。

スマートフォンに変わってからお店を探すときは歩かず探すようになった。

おそらく後悔したくないためだろうが、今日はスマートホンで探すことはやめておこうときめていた。

わからないところはわからないから良いということに最近気づきいたのと、スマートフォンの待ち受けの嫁と子供の顔をみるとなんか申し訳なく思うからである。

気を取り直し、飲み屋を探す。

1人で飲み歩くときは、とりあえず一軒目に入ることが大事である。

細い道から大通りにでると、信号の先に明らかに若者が集まってそうな字体のお店が二つあった。

一つは本当に若者がたくさんいて、大きなテーブルが二つに椅子はビールケースに座布団を引いて座っている。

そっちは1人で入るにはとてもじゃないが難しい気がした。

もう一つのお店は一階はカウンターがあり、奥に座敷がある。

すでにお酒が進んだおじさんとお姉様方が端の方で盛り上がり、バングラデッシュの方が1人だけカウンターで夜ご飯を食べていた。

入ってすぐねじりハチマキをした大将が威勢のいい声を上げる。

カズヤはその時からこの飲み屋が良い飲み屋であることがすぐにわかった。

奥から女性が1人きて、カウンターへ通してくれた。

お酒を頼んでからすぐ小鉢に入ったポテトサラダを出してもらった。

カズヤ人生ではじめてお通しをおかわりし、ビールを一気をに流し込む。

お店についてるテレビには90年代ヒットソングメドレーが流れていて、世代の曲を聞くと自然と心が血が踊っていた。

そして気づいたら人が増えていて、隣のバングラデッシュ人に拙い英語で話しかけているおじさんの会話に注目してみたりして、

 

「えーー、どこ生まれ??フロムはどこ?」

 

「Bangladesh」

 

バングラデシュ!?すごいねぇ。どこだろ

 仕事できたのかい?ワーク?」

 

「YES.」

 

「日本は楽しいかい?」

 

「メッチャタノシイ」

 

「しゃべれんのかい!何が楽しい?」

 

「オンナ」

 

「おんな!?!?」

 

そこですぐにジローラモの真似をしたおじさんの名前はまさとさんという方で、

ひとしきりバングラデシュ人と喋ってから自分に話しかけてきた。

話が進むと、まさとさんはかなり面白いひとだった。

 

伊勢原に何しに来たの?」

 

「仕事です。出張で三日間。」

 

「へぇーたいへんだな。」

 

「いや、意外と羽伸ばして休み感あります。

 伊勢原ってなにがありますか?」

 

「ん〜伊勢原はねぇ〜…

  まっ、あるっちゃあるけどないっちゃないよね。」

 

「全部そうじゃないですか笑笑」

 

「いやほんまにほんまに。

 有名な俳優さんとかいるけど、いないぐらい知名度ないし、

 すげーでかいハナミズキあるけど、ないって言われたらないからね」

 

「あー、あるっちゃあるけど〜…

 

「ないっちゃないな」

 

「良いですねそれ。それください俺に」

 

「えー、あげるならもっと良い言葉あげたいよ。」

 

まぁ、その話をするからには…

と言って、2件目のスナックにつれてってもらえた。

伊勢原で一番良いスナックだといい、すでに11時をすぎているのに人がどんどん入ってきている。

 

そして歌を歌う前に一言だけ

 

「カズヤくんに"がんばる"という言葉を送るぞ」

 

「がんばる?」

 

「ただの"頑張る"じゃないよ

 

 "願うに胸を張る"で"願張る"

 

 っつーわけでうたいまーす」

 

今日が素敵な日になることはわかっていた。

わかってはいたが、心がこれほどまでにも満たされるとはおもわなかった。

まさとさんからもらった言葉を胸に刻んで行こうと決めた。

みんなの地元を語る時に使って欲しい。

 

"まっ、あるっちゃあるけど、ないっちゃない''

 

たしかに何にもないよって言うからな〜

はぁ〜…明日もいるかなぁ〜まさとさん。

 

 

                   いじょ